視察報告書 / 2026年4月
岐阜市議会経済環境委員会&有志

農業の未来を拓く
産官学連携の現場

埼玉県羽生市に展開する「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(TAP)」と 「羽生チャレンジファーム」の視察を通じ、次世代型農業プラットフォームの 最前線を報告する。

3ha
TAP 現稼働面積
20+
参画・交渉中企業数
76.5%
65歳以上の農業従事者
150ha
10年間の耕作放棄地増加

視察の目的

本視察は、埼玉県羽生市において展開されている「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(TAP)」および羽生市主導の「羽生チャレンジファーム」の取り組みを視察し、産官学連携による次世代型農業プラットフォームの構築状況や、地域農業の課題解決に向けた具体的な施策について知見を得ることを目的とする。

羽生市は首都圏から約60kmという好立地にありながら、農業従事者の高齢化や耕作放棄地の増加という深刻な課題を抱える。本視察では、民間企業・行政・研究機関が連携してこれらの課題に挑む最前線の現場を直接確認した。

TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(TAP)

TAP説明会の様子
▲ TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK にて説明を受ける視察団
所在地
埼玉県羽生市
現稼働面積
3 ha
将来計画面積
6 ha
都心からのアクセス
車で約1時間半
コンセプト
農業版シリコンバレー
運営
株式会社タカミヤ

株式会社タカミヤが運営するTAPは、「農業版シリコンバレー」を目指す総合農業パークである。産官学が連携する農業特化型プラットフォームとして、ヤンマー、マクニカ、AGRIST、NETAFIMなどの有力企業が参画し、各社が持つ最新技術の実証実験の場として活用されている。

特筆すべきは、TAPが提供する「ショールーム機能」と「データ共有機能」である。参画企業は自社だけでは得られないデータを共有し合い、AIを活用した栽培効率の向上を目指している。また、慶應義塾大学との農福連携事業(電動車椅子アタッチメント「Feeling」の活用検証)など、福祉的観点からのアプローチも進行中である。

主な参画企業・機関

YANMAR農業機械
MACNICAICT・センシング
AGRIST農業ロボット
NETAFIM灌漑システム
Kukulcanフードロス・AI
慶應義塾大学農福連携研究

羽生チャレンジファーム

羽生市議会訪問の様子
▲ 羽生市議会にて視察団
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「人」の課題

農業従事者の約76.5%が65歳以上。過去10年で農業従事者が約753人減少し、新規就農者の確保が急務となっている。

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「土地」の課題

耕作放棄地が1日あたり1.6ha増加し続け、10年間で150ha以上が放棄された。農地の有効活用が喫緊の課題である。

羽生市が推進する「羽生チャレンジファーム」は、三田ヶ谷地区の約24haを対象に、企業誘致を通じた農地の集積と活用を図る取り組みである。市が地権者と企業の間に立ち、農地確保から契約までを一括して支援する体制が構築されている点が特筆すべき点である。

現在、「元気農場」「ロコファーム」「株式会社タカミヤ」「AGRIMEDIA」などが進出し、高収益作物の栽培やスマート農業の実証、観光農園の運営など、多様な農業モデルが展開されている。

視察を通じて得られた知見と考察

両施設の視察から、現代の農業課題に対する以下の有効なアプローチが確認できた。

アプローチ具体的な取り組み期待される効果
異業種連携の促進TAPにおける複数企業間のデータ共有・共同研究単独企業では困難な技術革新の加速、新ビジネスモデルの創出
行政の積極的介入羽生市による地権者交渉の代行、基盤整備の支援企業の農業参入障壁の低減、耕作放棄地の効率的な解消
最新技術の実装農業ロボット・AI収量予測・環境制御システムの導入省力化・効率化の実現、新規就農者に魅力的な環境の提供
多様な価値の創造農福連携(車椅子での農作業検証)・観光農園化農業の裾野拡大、地域社会との共生、農業のイメージアップ

まとめ

一、己を愛する 一、人を愛する 一、会社を愛する

— 株式会社タカミヤ 事業理念より

TAPおよび羽生チャレンジファームの取り組みは、単なる農地の有効活用にとどまらず、テクノロジーと多様な人材を融合させることで、農業を成長産業へと転換させる可能性を示している。

これらの先進的な事例は、日本の農業が直面する「人」と「土地」の課題に対する実践的な解答の一つであり、特にTAPが構築する「産官学連携プラットフォーム」と、羽生市が推進する「行政主導の農地集積モデル」は、他の自治体・地域にとっても参考になるモデルケースとして、今後の展開が大いに期待される。